自治体などへの申し入れ

去る4月16日の干潟を守る日諫早集会での議論、5月16日の福岡高等裁判所の決定を受けて、長崎県などに申し入れした。

   
長崎県諫早湾干拓室                                      諫早市干拓推進室
 

申し入れ書を紹介します。
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諫早湾干拓事業に関する申し入れ

 

諫早湾が潮受け堤防で閉め切られて、今年で満8年を迎えました。

かつて豊かな生物達の営みで賑わいを見せていた諫早湾の干潟は、荒々しい雑草に覆われた干陸地となり、「環境の21世紀」をあざ笑うかのように、魚も鳥もいない沈黙の大地となっています。

 

 諫早湾の閉め切りにより干潟が消滅したこと、有明海の潮流に大きな変動が生じたことを主な原因として、有明海の「奇跡のメカニズム」の破壊が進み、宝の海・有明海の水産業は衰退の一途をたどり、沿岸地域社会の「持続可能性」に赤信号が灯っています。

 諫早湾干拓事業をこのまま完成させ、潮受け堤防で永久に潮汐を遮断し、諫早湾の干潟を消滅させたままにするならば、有明海と沿岸海域にどのような未来があるのでしょうか。それはただ「死の海」が広がり、自然と人間の共生関係が失われた貧困な社会が出現するしかありません。

 

 すでに沿岸漁民の中には、負債に耐えかねて自らの命を絶ち、さらに私達の子孫を襲う計り知れない悲劇が公共事業の名で今後も引き起こされていくのです。昨年8月、佐賀地裁は漁民の訴えを認め、工事を進める国の対応を厳しく指摘し、干拓工事の中止を命令しました。

 また、去る5月16日の福岡高裁の判決でも、有明海の異変を究明するための中・長期の開門調査の実施を明確に指摘した。

 

干拓農地の湛水防除策あるいは高潮対策は、他の有明海沿岸ではすでに排水機場増設や堤防工事により効果的な対策がとられているのはご存知のとおりです。また調整池の水質保全のために、将来にわたって莫大な税金が投入され、しかも水質は一向に改善されないというドロ沼に足を取られるような事態が繰り返されるのは、岡山県児島湖干拓の例を見れば明らかです。

 

 50年、100年後あるいはそれ以降も、私達の子孫が豊かな有明海の恵みによって繁栄するために今なすべきことは、破綻した諌早湾干拓事業を中止して破壊された諌早湾干潟を復元し、もって有明海再生のために英知を傾けること以外にありません。それこそが未来の世代への賢明で責任ある選択です。知事の英断に期待します。

 

 このような主旨から、次の事項について申し入れしますので、後日懇談の機会を設け、討論あるいは検討に参加していただくように要請します。

 

              記

 

1.  有明海と諫早湾の自然環境を評価し、再生するための協議会を設置すること。

 

2.  佐賀地裁の仮処分決定及び福岡高裁の決定を真摯に受け止め、排水門を開門することによって、様々なデータを収集し、有明海再生の方策を検討すること。

 

3.  有明海異変の調査、研究を進める間、諫早湾干拓事業を停止すること。

以上


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