申し入れ書

2004年4月15日

長崎県知事 金子原二郎  

 

諫早干潟緊急救済本部 代表

干潟を守る日2004in諫早実行委員会委員長

山下 八千代

                  連絡先 854-0034 諫早市小野町1100-13

                                       TEL0957-23-3740 FAX 0957-23-3927 

 

諫早湾干拓事業に関する申し入れ

 

諫早湾が潮受け堤防で締め切られて、今年で7年になります。

かつて豊かな生物達の営みで、賑わいを見せていた諫早湾の干潟は、荒々しい雑草と干陸

化した工事現場となり、「環境の21世紀」をあざ笑うかのように、数多くの重機がうごめ

く日々が続いています。

 諫早湾の締め切りにより干潟が消滅したこと、有明海の流動に大きな変動が生じたことを

主な原因として、有明海の「奇跡のメカニズム」の破壊が進み、宝の海・有明海の水産業は

衰退の一途をたどり、沿岸地域社会の「持続可能性」に赤信号が灯っています。

 諫早湾干拓事業をこのまま完成させ、潮受け堤防で永久に潮汐を遮断し、諫早湾の干潟を

消滅させたままにするならば、有明海と沿岸海域にどのような未来があるのでしょうか。そ

れはただ「死の海」が広がり、自然と人間の共生関係が失われた貧困な社会が出現するしか

ありません。

 しかも、私達の子孫を襲うであろうこのような悲劇が公共事業の名で引き起こされようと

しているのです。河川氾濫、市街地の水害防止は今次干拓事業では不可能であり、農地の湛

水防除策も排水機場増設などが最も効果的であることは
長崎県が熟知していることです。

また調整池の水質保全のために、将来にわたって莫大な税金が投入され、しかも水質は一向

に改善されないというドロ沼に足を取られるような事態が繰り返されるのは、
岡山県児島

湖干拓の例を見れば明らかです。

 50年、100年後あるいはそれ以降も、私達の子孫が豊かな有明海の恵みによって繁栄

するために今なすべきことは、破綻した諌早湾干拓事業を中止して破壊された諌早湾干潟を

復元し、もって有明海再生のために英知を傾けること以外にありません。それこそが未来の

世代への賢明で責任ある選択です。知事の英断に期待します。

 このような主旨から、次の事項について申し入れしますので、後日懇談の機会を設けてい

ただくように要請します。

            記

1.「ノリ不作第三者委員会」が示した「中・長期開門調査」を速や

  かに実施しその結果が出るまで一切の諫早湾干拓工事を中止す

  ること。

2.「中・長期開門調査」の結果、有明海異変の主要因が諫干事業に

  あると判断されたならば、事業を根本的に見直し、諌早湾干潟

  の復元と有明海再生のために潮受堤防の撤去ないし改造を含む

  事業への転換を図ること。

3.諌早地方の水害対策については、引き続き排水機場増設、かんが

  い・排水路整備などを進めるとともに、高潮及び津波に耐えう

  る海岸堤防の改築を行うこと。


                                                     以上

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