「干潟を守る日2004in諫早」宣言
諌早湾がギロチンのように閉め切られてから、7年目の春を迎えました。
変わり果てた風景を固定化しようとする農林水産省の理不尽な干拓工事が続けられていますが
、干潟復元や有明海の再生を目指す、漁民、市民、研究者、弁護士たちのたたかいも、大きな山
場を迎えています。
一方、“そこなわれた自然をとりもどす”ことをめざした「自然再生推進事業」が、全国各地で、姿をあら
わそうとしています。その試金石として注目された釧路湿原や東京湾三番瀬からは、喜びや期待の声より
も、不安と警戒の声が強く聞こえてきます。
これまで、全国の公共事業の多くは住民から身近な自然を奪い、自治体の財政を圧迫し、未来
に暗い影を落としてきました。そのような開発の過ちが真に反省されないまま、自然の再生につ
ながるのか疑わしい事業が「自然再生」の名のもとに進められ、批判的な力さえ、そこに巻き込
まれ加担させられてしまう、あらたな「事業開発」の仕組みが作られつつあるようです。
今、世界に広がっている凄惨な殺戮といのちの軽視、その原因を作ってきた「力は正義」とす
る理不尽な暴力に、自分たちの思いや願いとは裏腹に加担させられている社会の現実とも重なり
ます。
ただ、私たちには確かなものがあります。
目の前に広がる、かけがえのない干潟や海、その自然につながっているいのちの営みです。
どんなに壊され、汚され、痛めつけられてはいても、したたかに営みを繰り返している、いのちのつなが
りと、そのはたらきの大切さを知り、いつまでも守り伝えたいと願う人の輪が、確実に広がっている事実で
す。
現象のおおもとを見通す曇りなき眼と、次代を想う熱い心のつながりが私たちの力です。時間
をかけて地球のいのちが創り上げてきたものと、そこに生かされている私たちであることを想い
、「過ちは正される」道理が世界に通されるよう、私たちは力を尽くします。
干潟・湿地から社会と世界を見つめ直そう!
そして、つながっていこう!
今こそ私達は、地球の命と子供達の未来のために、次の通り宣言します。
1.諫早湾干拓工事を直ちに中止し、開門調査を実施するよう要請します。
2.諫早地方の水害対策のため、干拓地の排水対策と既存の海岸堤防の改築を求めます。
3.ラムサール条約の理念に基づく、干潟などの湿地の生態系を守り、その特質を生かした賢明な
利用による、新たな公共事業のあり方を提唱します。
2004年4月10日
日本湿地ネットワーク