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知事へのEメール |
大島 弘三(県北保健所) |
消息3月号 |
最優先 |
テレビなどの報道でお見受けする限り、お元気そうでなによりです。
長文になりますが、しばらくおつきあい下さい。
私は県の情報ML「メルマガ」を毎回楽しみにしています。昨年「知事への提言」に発信しましたが、知事からの直接の返事が頂けず、周りの人からの回答を頂き私としては残念でした。
昨年は諫早湾の干拓工事に異義を唱える提訴があいつぎました。「むつごろう裁判」第二陣では、一昨年干拓工事の中止を求めてあなたを長崎地裁に訴え、私も原告に加わりました。裁判長は私に意見陳述の機会をくれましたが、残念ながら法廷にあなたの姿はありませんでした。
先日、自民党長崎県連のトップが県知事選にからんで、公共工事を請負っているゼネコンから献金を受けて逮捕されました。あなたの知らない所で黒い金が動いたとしても、その流れを明確にし、今すぐ県民に明らかにしてください。
諫早湾干拓事業はゼネコンのためにやっているのですか。
来年度の国の予算では、歳入の半分が国債です。欧米先進国は八割以上を税収が占めています。日本の政策の異常さが際だっています。借金のツケは何も知らない子供達に回されていきます。
あなたにもお子さんがおられると聞いています。私たちが子供達に残すものは、借金と破壊された海でいいのでしょうか。海の中から生命が生まれ、ヒトに進化し、その人類が母なる海を壊そうとしている現実を、あなたはどうお考えですか。
面積から言えば、諫早湾は有明海のほんお一部にすぎないものかもしれません。地元の漁師は「有明海の子宮」と言っています。潮受け堤防で締め切ったあと、大きな鳥や魚は湾外へ逃げました。ガタの中にはむつごろうやシオマネキ、ゴカイやアサリガイなど、沢山の干潟の生き物が閉じ込められ、干潟は雑草の生い茂る荒地に変わり果てています。
でも、まだ間に合います。今海水を入れれば海のプランクトンをはじめ、多種多様な生き物たちが見事に干潟を生き返らせてくれるることでしょう。
私は昨年、香港のマイポに行きました。香港は以前の英国の植民地の時代から、中国に返還された後も国が政策として干潟を保護し、エビの養殖にも取り組み、子供達の環境教育に活用しています。私が行った時には、三万羽のシギ、チドリが羽根を休めていました。この鳥たちは五年前には諫早湾に来ていたのかもしれません。
他にも、諫早の参考になる事例は沢山あります。国内では児島湾や中海。海外は韓国、オランダ、イタリアなど、できればご一緒に見に行きたいものです。
今から二〜三十年後、私達は多分墓所に入っているでしょう。その頃、「オヤジ達は、なんでこがん事ばしてくれたっちゃろか」と、莫大な金を使って海水を調整池に入れる工事にかからなくてはならないでしょう。
いくら金を注ぎ込んで下水道や家庭の浄化槽を作っても、天然の浄化槽の代役は務まりません。干潟を回復しない限り、有明海異変は永久に続きます。
四月になるともう少し暖かくなります。潮の干満も大きくなって、干潟も沢山の生き物たちで賑わってきます。私たちは毎年、四月十四日の諫早湾締め切りの日を基準日として、全国各地で「干潟を守る日」のイベントを展開しています。長崎での今年の内容が固まり次第お知らせします。この機会にぜひご来場頂き、お話出来れば幸いです。
私のホームページを開設しました。こちらにもいつでもお出かけ下さい。
http://www.geocities.co.jp/NatureLand-Sky/7281/
東スヘルデ高潮防潮堤。
諫早湾の排水門に当たる。
オランダでは常時解放、高潮の時だけ閉じる。
ハーリングフリート河口堰。
この河口堰も水質の悪化を理由に
2005年から席を開放することが決定した。
香港・マイポの干潟。
向こう側は経済特区シンセン。 一斉に飛び立つシギ
*写真提供は、
諫早干潟緊急救済東京事務所 二村絵里子 氏