干潟を守る日 2013        2013.05.22   更新

13.04.13 (土)13:00〜16:00 諫早市の高城(たかしろ)会館で、約60名の市民の参加を得て開催した。

内容は

1.諫早湾干拓事業の開門判決の実現に向けて
 報告:堀 良一(よみがえれ!有明海訴訟 弁護団事務局長)

2.干潟の再生と諫早湾の未来 〜夢の環境復元都市いさはや宣言〜
 提言:佐藤 正典(鹿児島大学教授)

3.元気の出る“諫早”の地域づくり
 提言:片寄 俊秀(元長崎総合科学大学教授)

4.井戸端会議
 参加者全員で諫早の未来を語り合いましょう。

 今年12月までの開門が福岡高裁の判決で確定した。

開門の方法については、農水省は「干潮時に現在の調整池の水準のマイナス1mから、わずか20cmだけ水位を下げ、満潮時の水門からの海水導入を現在の水準のマイナス1mで止める。」という制限開門の方法を決定した。

高裁判決にある「排水門の常時開放」というイメージには程遠い印象ではあるが、この開門をステップに、正真正銘の「全開門」を目指しての行動へとつなげていきたい。

会場では、かつての諫早湾の姿を思い、将来への展望を語る集いが展開された。
「井戸端会議」では、参加者みんなが思いを模造紙に書き、これからの地域のあるべき姿を語り合い、さらにグループ毎に発表して熱のこもった会となった。

   
   実行委員会 あいさつ   開門判決の実現を 堀弁護士
  環境復元「諫早」 佐藤先生        
 元気の出る「諫早」

  タイラギの採れる「諫早湾」へ
    「井戸端会議」   「井戸端会議」ー2 諫早湾をラムサールに登録しよう。



井戸端会議で出された「みんなの思い」
 
 出されたそれぞれの「思い」はその場では議論しておりません。そのまま掲載します。


【テーブルA】

・諫早水害。以前は石垣(堤防)であった。うなぎが石垣にいた。その後、セメント護岸工事になったためうなぎがいなくなった
・中学生の後は、海・川で遊ぶことがなくなった。
・うなぎは"山下渕"より上流。
・"山下渕"、"小野用水"は取水口であるが、汽水池から淡水池に。

<閉め切り前
・諫早湾では、佐賀海苔に負けない美味しい海苔がつくられていた。
・本明川河口の農業者は自宅の2階の軒先に小さな船をくくりつけていて、水害の時の有事に備えていた(人間の知恵)。自然と共存していた。
・本明川河口の住人は潟地でガタスキーなどで、その日の夕飯のおかずを取ることが出来るほど自然豊かであった。

・調整池の水質改善。
・開門後の調査をみんなでやろう。

・排水門を開けることからすべては始まる。

【テーブルB】

<諫早100年プラン>
[目的]再生と未来
・自然(土台)→干潟(ヨシ原、シチメンソウ、鳥、生物)→常時開門
・@漁業→魚介類
・A農業→水田・畑
・B教育と観光(レジャー、体験型教育、子どもたち、歴史、国際交流)
・生産性向上→安定、ブランド化(持続的な地域づくり)

【テーブルC】

・@開門して良くなる/自然の循環が戻る/有明海再生
・A河をコンクリートで固めるのはよくない。三面張りは特に良くない。
 生きものが苦しんでいる。湿地が大事。
・Bお任せ民主主義/自分たちで自分の生きていく道はつくる。
・日本は自然が豊か→それに気づいていない。
・自然に触れる機会は必要。
・今が歴史的曲がり角、どっちに行くのか。アメリカの後追いか、自然とともに楽しく生きるか。
・原発やめよう
・開門を実現しよう。
・裁判の確定を実行に移すこと。このままだと法治国家でなくなる。
・閉め切ってみて、はじめて豊かさがわかった。
・環境教育を行ったからといって、個人差があるので、さっきの彼のような人ばかりでない。
・日本にはいっぱい川がある。
・日本は桃源郷!! 諫早は桃源郷!!

【テーブルD】

<水門を開ければ何か良い事があるの?>
・@水産資源増
  ・漁獲高UP!
  ・開門後直ぐは被害→再生に必要な過程。貧酸素の改善。悪いものは現在も出ている。
            (具体的先例)(自然は強い、たくましい)
・A論争の結着(データが重要/適切な取り方、内容→環境省、公調委)。
   ・開門でしか得られないデータが期待できる。
   ・干満差の増減。
・B食文化:昔の水産資源の味(カキの味)

【テーブルE】

<諫早湾の思い出/水門を開けてどうしたいか?>
・@観光都市(スンチョン湾みたいに)→地元農産物消費、経済効果
・A変化の過程を見る→環境教育。変化の過程も資源になる。
・B農業用水(毒水からきれいな水)→農産物イメージアップ。
  ・排水ポンプや水路拡張など防災対策を実現できる
・調整池を元の海に戻す。海水交換。
・干潟を復元する。
・もっと広く開けたい。
・農民と漁民、誰もが共感できる目標は???

【テーブルF】

<開門すると"にぎやかになる">
・環境教育の実現
・自然の恵みが人の恵みになる〈働く場所、生きる場所〉。
・食文化/むつごろうの蒲焼き(おいしかった)
・雲仙と干潟の風景
・小長井町の海岸線に見える干潟のラインが美しかった。
・干潟の生きものの働き(戦後直ぐの銀座のよう)
・渡り鳥がすごく多かった。
・七面草がきれいだった。
・干潟の生きものが多くて"にぎやか"。目をつぶると生きものの音が聞こえていた。
・海が、潟が生きてた!!
・潟の中で遊んでいた。
・おかずがいる時は採りに行っていた。(あげまき、あなご・・・)

【テーブルG】

・@このままだと、昔の干潟を知っている者(諫早湾の本当の自然を知っている者)が風化してしまう;恐怖!!
・A昔のムツゴロウ汁。
  おばあちゃんがカゴで売りに来ていた。なつかしい。
・B秋の紅葉は雲仙だけではない。諫早湾もまっ赤/シチメンソウの大群落〈消えてしまった〉。
・C帰化植物の大繁殖→水門を開けたら消滅する!!

【テーブルH

・有明海全体の赤潮が無くなり、海底が良くなる。タイラギ・アサリの貝類をはじめ底生魚類も大量発生する。
・漁業生産が増え、若い後継者が増えて元気な港を作れる!!
・排水門の近くの小長井・瑞穂で、20年ぶりタイラギ操業、ウミタケも取れる。
・調整池で潮干狩り、観光客も潮干狩り。
・道沿いでアサリ焼き屋が増える(3〜6月)。
・ハゼ釣り/白浜堤防に数百人が集まっていた。職場の帰りなどに潮が良いとき。アゲマキ採りも
・島原市有明町大三東地先/昔のような良質の海苔がとれる。
・漁師はみんなニコニコ顔になる!!
<干潟が再生される
・環境再生という新たな公共事業。
・再生のプロセス(過程)を見せよう!!
・本明川をウナギが逆のぼってくる。
・いろんな生物がもどってくる(観光客も)
・干拓前のムツゴロウ・トビハゼ等や、多くの生物が動きまわっていた光景がわすれなれない。
 開門し、早い時期にきっと見られるのでしょう。
・諫干で商店街も今ではシャッター街。開門・再生で100万、200万の観光客で、諫干前と比べものにならないくらい地域が大きく発展する期待。
・どうして暮らせば良いのかとの、有明海の漁民の顔が明るく輝く顔が見たい。

【テーブルI】

<開門後の諫早活性化
・@漁業の再生
  ・家業が漁業、カキ打ち、海苔乾燥などの仕事を手伝う。
  ・夕食時(おかず/アゲマキ)
  ・ハゼ釣り→ハゼ縄(針)
  ・昔の諫早湾は輝いていた。
・A有機農業と漁業のタイアップで活性化。
  ・魚と野菜のセットみたいな・・・
・Bエコツアー
  ・自然再生のまち→うなぎ
  ・カヌー、アシ船で自然体験
  ・干潟の産物を諫早で利用(ムツゴロウ、シチメンソウ)
  ・堤防からつり堀り
・研究機関を(干拓の里の再利用)
・堤防内側は利用自由度が大。
・環境浄化を→農薬・肥料がヘドロに堆積、早く泥を出す(問題点)


翌14日(日)

現地見学会と干潟慰霊祭

 干拓農地の
 大型農業機械
 スプリンクラー  参加者   南部排水門  新たに設置された
  排水ポンプ
  干潟慰霊祭  慰霊祭  自然が許しません




報告書での情報提供 2013.05.14(火)

「干潟を守る日2013」の報告書を長崎県知事、県議会議員、諫早市長、市議会議員各氏に届けました。併せて県政、市政記者クラブにもその情報を提供しました。

報告書の内容は当日配布の講演のレジメ

1.干潟の再生と諫早湾の未来 〜夢の環境復元都市いさはや宣言〜 提言:佐藤 正典(鹿児島大学教授)

2.元気の出る“諫早”の地域づくり 提言:片寄 俊秀(元長崎総合科学大学教授)

3.井戸端会議で出された「みんなの思い」(前掲)
です。


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