長崎県議会農水経済委員会が参考人質疑  12.05.31 更新

12年5月29日長崎県議会農水経済委員会(委員長・山田博司)は開門推進派のメンバーを参考人として呼び、質疑を行なった。
県議会は従来から開門反対の決議をするなど、県知事と共に否定的な立場を取って来たが、「推進派の方々の意見もお聞きして、これからの行動の参考にしたい。」(山田委員長のあいさつ)と、現在の事態打開への糸口を模索する姿勢を明らかにした。

6月11日には、開門反対派の方々との懇談も予定されている

参考人には
「よみがえれ!有明」訴訟弁護団の馬奈木昭雄団長、堀良一事務局長、後藤富和弁護士、長崎県雲仙市瑞穂漁協石田徳春組合長、諫早市の農業横林和徳さんの5人。

まず参考人の意見陳述
堀さん:
干拓事業の経過、裁判の現状と解説などのレクチャーがありました。

石田さん:
私達諫早湾の漁民は国と県に騙された。干拓工事の前には「漁獲は20%の減少にとどまる。完成後も漁業経営は出来る。」との説明で、やむを得ず印鑑をついた。
今、調整池には汚染水がたまり、平成23年度でも年間214回も排水門から流された。タイラギはこの19年間全くとれない。アサリも閉め切り前の平成8年には120tとれていたのが、締め切り後9年には60t、10年には45t、19年から5年間はそれぞれ8t前後で推移。組合員の数も105人いたのが、今は66名になり、このままでは諫早湾から漁民はいなくなる。
平成22年の組合の全員協議会で、全員一致で「排水門開門賛成」と大きくカジをきった。
私達は干拓地の入植農家、後背地の農家ともみんなが共存出来ることを願っている。

横林さん:
今の干拓地の農業は県が言っているような「環境保全型の農業」ではない。農業用水として使っている調整池の水は汚れている。さらにミクロシスチンという猛毒物質を出すアオコが毎年発生している。
代替水源として本明川や境そして、下水処理場の水は毎年227万t流れている。ここの水質が窒素が8ppmあるが、水稲には不向きでも畑作に不適と言うのは認識不足。児島湖の処理場は2ppmまで減らしており、熊本市では水田に使用しています。
溜池の用地は干拓地内のTGFの畑も利用出来る。塩害対策としては防風林、干拓地内に淡水の潮遊池をめぐらせるなどで防ぐ。
地域の方々との話し合いで、一致点を見つける努力をして行きたい。そういう場の設置を、県議の皆さんが力を尽くして頂きたい。

後藤さん:
諫早湾の今後のあるべき姿として、韓国のスンチョン湾を紹介する。
かつては開発の危機にあったが、住民の方々の努力で干潟を守り、農業と漁業の両立が図られた。
2,006年にラムサール条約の登録が認められ、国内外からの観光客が2,010年には300万人になった。福岡市からもJTBがスンチョン湾ツアーなどを企画し、来年の万国庭園博覧会を目指すなど、環境教育とエコツアーのメッカとして飛躍を遂げている。スンチョン市の投資額は年間6億円、経済効果は70〜80億円とはじいている。
詳細は大橋法律事務所のブログ

馬奈木さん:
対立では解決しない。
「判決は守る必要が無い。」との長崎県知事の態度は異常である。行政は司法の判決に従うものであり、三権分立の考えからあり得ないことだ。
「被害が出る」とおっしゃるのであれば対策をとりましょう。いさかいは止めて、みんなで対策を考えよう。

委員からの質疑
高比良末男 馬込彰 高見健 の各委員からの意見
「国が地元の意見を聞かずに実行しようとしている。」
「わずか250mの開門で有明海がよみがえるのか。」
「有明海の漁業不振の原因は諫早湾干拓だけでは無い。筑後川大堰など、他の要因も探るべき。」


  


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